色鮮やかな紐(ナイロン製のロープ)が飯田善國の彫刻に登場するようになるのは、1970年代に入ってからのことである。六面体が二つ並んでいるこの作品は、片方は鉛、もう一方はステンレスでできており、双方の大きさと形を同じものにすることにより、それぞれの素材の違いが対比され、強調されている。鉛は、重さと内部への集中を感じさせ、ステンレスは軽さと外界への開放性を感じさせる。その対照的な性質のものをつなぐロープには、青や紫の色がついており、色彩のない金属とは全く別の世界に属すものであることを示している。このロープの色は、実は作者が自分の感性に従って、Lは青というようにアルファベットの26文字を色に変換したものである。英語で鉛はLEAD、ステンレスはSTAINLESS STEELであり、作者は、この二つの言葉から共通するアルファベットを選び、それをロープの色に置き換えている。六面体に添えられたナイロン製ロープは、馬の手綱のように金属製の二つの物体をコントロールしている。その点にこの彫刻のユニークさがある。左右合計16本のロープが重要な役目を果たしていることは当然だが、文字という記号を操りながら生きてゆく人間の精神活動そのものが、この彫刻の主役だとも考えられる。(Y.S.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 六面体
- 作者名
- 飯田 善國
- 制作年
- 1978
- 分類
- 彫刻・インスタレーションほか
- 材質・技法
- ステンレス、鉛、ロープ
- 寸法
- 各100×100×30cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1978
- 作品/資料番号
- 1975-00-4010-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/1246/
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