
石井茂雄は、1933年東京に生まれた。1950年文化学院美術科を卒業。同年、第24回国画会展に初入選する。当初はシュルレアリスムの影響を受けた人物画を制作していたが、1955年頃からは風刺的な内容をもつ作品へと移行する。それは、見せかけの平和主義に対する挑戦ともいえる強烈な皮肉に満ちたもので、歪んだ人体や廃墟のような都市を主なモティーフとしていた。油彩画の他に、鋭い硬質の線で描かれた素描や銅版画を多く制作しているが、1960年頃には写真を用いたコラージュも手がけている。それらによって彼が表現しようとしたのは、「暴力」や「不安」といったネガティブな感情や感覚だった。戦後の日本が経済的な復興を遂げつつも、社会の奥底に芽生えていた漠然とした不安感や危機感を炙り出すかのように、皮肉なユーモアに富んだ作品を作り続けていた。rn彼が作品を発表したのは、およそ10年という短い期間だった。仲間と馴れ合うこともなく、挑発的ともいえる発言をも辞さない作家だったと仲間の回想に語られている。また、幼い頃からの持病であった喘息のため、決して丈夫とは言えない体だったという。しかしそれ故に、変動する社会をむしろ傍観者のように冷徹に見据え、50年代日本の様相を鋭敏に感じ取っていたといえるだろう。単なる写生とは異なる意味での新しいリアリズム表現を追求し、そして表現しえた作家のひとりだった。1962年、28歳の若さで急死した。
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 戒厳状態シリーズ〈L’Etat de Siege〉
- 作者名
- 石井 茂雄
- 制作年
- c.1952
- 分類
- 水彩・素描
- 材質・技法
- インク、鉛筆/紙
- 寸法
- 39.8×33cm
- 受入区分
- 寄贈
- 受入年度
- 1981
- 作品/資料番号
- 1975-00-2018-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/781/
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