大量の洗濯バサミが、大小7枚のカンヴァス上に無秩序にうごめいている。この一風変わった作品は、1963年最後の読売アンデパンダン展に現れた。当時の展示では、洗濯バサミの大群がカンヴァスの枠を越え、周りに展示されていた下着や卵のオブジェにまで拡がっていたという。鑑賞者が床に散乱した洗濯バサミを何気なく拾って、洋服につけたまま帰ってしまうこともあったようだ。美術館に置かれた洗濯バサミという「芸術品」は、こうして「攪拌運動」を続け、ごく普通の日常生活に密かに侵入していったのである。
赤瀬川原平、高松次郎とともに〈ハイレッド・センター〉を組織した中西夏之が、一躍注目を集めたのは1962年の「山手線事件」だった。白塗りした顔の中西が、駅ホームで卵のオブジェを舐める奇抜なパフォーマンスは、駅という日常の場に芸術という異物を持ち込む試みだった。一方、本作品では美術館という非日常的な芸術空間に極めて卑俗な日用品を取り込んだ。作者の狙いは、芸術と日常生活の境界を取り払い、その二つをまさに「攪拌」させることにあったわけである。(C.M.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 洗濯バサミは攪拌行動を主張する
- 作者名
- 中西 夏之
- 制作年
- 1963(一部c.1981再制作)
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- 紐、洗濯バサミほか/カンヴァス
- 寸法
- 7点組:左右6点各116.5×91cm、中央 41×31.5cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1985
- 作品/資料番号
- 1975-00-0344-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/361/
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