
1960年代の中西夏之は、高松次郎、赤瀬川原平らと結成したグループ「ハイレッド・センター」によるパフォーマンスやイヴェントを通じた「直接行動」の探究や、前衛舞踏家・土方巽との主として舞台美術におけるコラボレーション等の活動に主力を注いでいる。約10年間のラディカルな「反芸術」的実践を経て、中西は再び絵画に戻ってくるのであるが、何よりもそれは、絵画の発生の場を確認するためではなかったのだろうか。1978年に描かれた《弓型が触れて》では、自作の小さな竹弓が、その弧が画面に接するように、取り付けられている。そこでは、画面は、垂直に立ち上がる膜面と仮想され、さらに絵を眺める画家や観客の背後に、その一端が画面上に触れるような巨大な円弧が想定されている。弓形はこの円弧の一部に他ならない。絵画は、見られるための空間構造をはらんだ、一種の装置となっているのである。1981年に描かれた《夏のための》では、画面の中央に印された9つのマークが、シンメトリックな楕円形を形成している。観者の眼前に立ちはだかるこの形象は、何か厳粛な儀式の痕跡のようにも見える。《柔かに、還元》は、1997年に東京都現代美術館で開催された個展のために描かれた連作である。そこでは、限差しのさまよいにつれて焦点が移動し、より開放的で散逸的な空間が生み出されている。モティーフやスタイルは少しずつ変化しているが、中西の絵画においては、つねに絵画そのものの生成が再現され、発生の場が検証されていると言えよう。その意味でそれは、きわめて独自な方法による絵画の本質の追求の試みなのである。(Y.M.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 弓形が触れて Ⅳ
- 作者名
- 中西 夏之
- 制作年
- 1978
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- 油彩、弓/カンヴァス
- 寸法
- 180×131cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1979
- 作品/資料番号
- 1975-00-0342-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/359/
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