利根山光人が、佐久間ダムの工事現場を訪れたのは、1954年のことであった。前後2回、数十日間にわたって現場の労働者と寝食をともにして、多くの人命が失われた大規模な難工事をまのあたりにしたのである。彼は、その報告の中で「その現場での生活実感を通して先ず視覚を通して訴えてくる即物的な要素から率直にその背景に隠されてゆく実態にまで切り込んでゆくべきではないのだろうか。」と述べている。そして制作されたのが「佐久間ダム」の連作であった。これはそのうちのーつ、「第8回読売アンデパンダン展」に出品されたものである。社会的な出来事を主題にするルポルタージュ絵画は、戦後日本の抱える矛盾や問題点を激しく追及して、1950年代の一時期盛んに描かれるようになった。この《いけにえ(ダムシリーズ)》も社会的な主題を扱うという意味では、その系譜の上にあるといえる。しかし多くのルポルタージュ絵画は、シュルレアリスムを基盤にしつつ記録的な要素あるいは政治的なプロパガンダとしての目的を多分に含んでいた。それに対して、彼のこの作品は抽象化されたいくつかのイメージを組み合わせて、この工事がどのようなものであったのかを象徴的に伝えようとしている。描こうとする対象に身を投じ、肌身で受け取ったことに対する答えを、一個の画家としてこの作品に込めようとして、作者が選んだ方法である。(H.K.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- いけにえ(ダムシリーズ)
- 作者名
- 利根山 光人
- 制作年
- 1956
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- 油彩/カンヴァス
- 寸法
- 112.1×145.5cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1981
- 作品/資料番号
- 1975-00-0329-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/344/
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