
まるで竜巻のような勢いで何かが通り過ぎようとしている。それは画面右上から発生し、左半分へと流れ、猛烈な勢いで四方八方へ噴出する。薄い水色、青、白を背景に、モノクロームの粗い筆が駆け抜ける様子は、東洋の水墨画に見られる暗雲を強く連想させる。田渕安一は、戦後まもなくパリに渡り、現在も同地で活躍中の画家である。西欧世界へ自ら飛び込むことで、日本人特有の払拭しがたい西欧志向から解放され、自由な一個人として創作する道を選んだ田渕であったが、その後コブラ系の画家との交流やヴァイキング模様との出会いを経て、東洋的・仏教的な「自然の生成」というものに辿り着いた。それは、自然現象の多様性を認めながらも、全てが互いに連関し、連続するとみなす「汎神論的な立場」である。人の意識下に深く沈殿したこうした自然のイメージを、汲み上げ表象することが、田渕にとっては描くということと同義であった。この絵の中で過ぎてゆくものは、そうした「無限に変化するものの影」である。(C.M.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 影すぎる
- 作者名
- 田淵 安一
- 制作年
- 1961
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- 油彩/カンヴァス
- 寸法
- 114×195.5cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1979
- 作品/資料番号
- 1975-00-0308-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/323/
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