
鬱蒼と繁る植物と一体化したかのような女性たち、その中に腕を寄せ合う一組の男女が見える。そして彼らを取り巻くように、蛇がとぐろを巻いて画面を覆っている。《赤い蛇》という題名は、創世記に記された楽園と関係がありそうだ。在学中に「のりうつるほど見た」というエルンスト等の影響で、杉全がシュルレアリスムを標榜する美術文化協会に所属していたのは1939年から53年までのことである。その中で、敗戦とその直後の時期の作品には、《赤い蛇》のように、神話や聖書などに題材を採ったものが散見される。それは、個人的な幻想を超えた人類の原初のときへの関心と重なるものかもしれない。しかし、戦時中禁止されたシュルレアリスムの手法を、戦後の食料難のなか畑仕事の合間に再びとりあげたとき、「戦中戦後の激動を盛り込み、何かをはき出したい」という願いは裏切られた。「現実がはるかに超であるためか、その方法が形骸化され、脱け殻同然に思われたのである。」 60年代に、杉全は「きっこう」をモティーフとして、抽象絵画に転機を見いだすことになる。
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 赤い蛇
- 作者名
- 杉全 直
- 制作年
- 1948
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- 油彩/カンヴァス
- 寸法
- 160.5×201.5cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1978
- 作品/資料番号
- 1975-00-0257-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/272/
東京都現代美術館のその他の収蔵品 (8082)
![作品画像:[斎藤義重作品写真集:ファイル 6] 13/41](https://museumcollection.tokyo/wp-content/uploads/2022/08/11864.jpg)
[斎藤義重作品写真集:ファイル 6] 13/41
斎藤 義重
東京都現代美術館

水槽(小魚とひとで)
木和村 創爾郎
東京都現代美術館

人物(男)
鹿子木 孟郎
東京都現代美術館

病室 610
尾崎 愛明
東京都現代美術館

田園
靉嘔
東京都現代美術館

300年の宴
横尾 忠則
東京都現代美術館

枯れゆく花
小林 ドンゲ
東京都現代美術館
![作品画像:[「第10回日本国際美術展 人間と物質」(1970年)記録写真] [リチャード・セラ《豚はその子を食べてしまう》(カール・アンドレと共同の政治的抗議)]](https://museumcollection.tokyo/wp-content/uploads/2022/08/6522.jpg)
[「第10回日本国際美術展 人間と物質」(1970年)記録写真] [リチャード・セラ《豚はその子を食べてしまう》(カール・アンドレと共同の政治的抗議)]
大辻 清司
東京都現代美術館

in the tree(木にねむる)
井田 照一
東京都現代美術館

沼の花
小林 ドンゲ
東京都現代美術館
![作品画像:[斎藤義重作品写真集:ファイル 1] 71/127](https://museumcollection.tokyo/wp-content/uploads/2022/08/11651.jpg)
[斎藤義重作品写真集:ファイル 1] 71/127
斎藤 義重
東京都現代美術館

回文銀錯花瓶
香取 正彦
東京都現代美術館

踏切番
松本 竣介
東京都現代美術館
![作品画像:風車 A[『風車』より]](https://museumcollection.tokyo/wp-content/uploads/2025/06/18479-620x1024.jpg)
風車 A[『風車』より]
瑛九
東京都現代美術館

山村初夏
奥瀬 英三
東京都現代美術館
](https://museumcollection.tokyo/wp-content/uploads/2022/08/13218.jpg)
[小清水漸作品写真集 2](45/74)
小清水 漸
東京都現代美術館