
肋骨が浮き立ち、骨と皮だけにやせ細ったひとが二人、暗闇の中に座り込んでいる。頸のない男に頭を取りつかれた人物は、両腕に力を込め逃れようとしている。戦争中6年間フィリピンで日本軍報道部の仕事に従事した阿部が、帰国後数年を経て着手したのがこの「飢え」のシリーズである。戦前より美術文化協会に所属し、シュルレアリスムの表現を試みていた阿部はまた、前衛写真協会にも所属する写真家でもあった。まさに、石坂洋次郎が言うとおり、「(徴用の間)彼は一枚も戦争画を描かなかった。そして、いま頃、こんな形で彼の戦争画を発表したのである。これは、いささかも感傷を交えない、厳しい戦争否定の宣言……」なのである。本作のタケミヤ画廊回廊の個展への出品、そしてサンパウロ・ビエンナーレ等海外展での活躍を経て、画家は50年代末よりヨーロッパに移り住むことになる。イタリアで客死した阿部のもとには、油彩と並んで、ビザンチンの遺跡の記録写真が大量に残されていた。ここに、人知れず朽ちていくものへの変わらぬ眼差しを我々は知るのである。
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 神話 A
- 作者名
- 阿部 展也
- 制作年
- 1951
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- 油彩/カンヴァス
- 寸法
- 91×116.5cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1978
- 作品/資料番号
- 1975-00-0021-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/21/
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