
ビニールシートで囲われた空間を進むと、静謐なたたずまいの像に出会います。像は、粘土の乾いた状態のままスタジオの中に放置されているようにも見えます。見る者の足元には粘土粉や作業道具が散らばっています。像はなぜこの状態なのか、いつ作られたのか、ここはどういう所なのか…。見る者は、漠然とした宙吊りの感覚を覚えるでしょう。rnマーク・マンダース(1968-)のこの世界は、彼の「建物としての自画像」というアイデアに基づきます。18歳のとき、執筆に用いていた筆記具を建物の見取図のように床に並べ、「建物としてのセルフポートレイト」と称する着想を得て以来、「建物」の形式を用いて架空の人物の自画像を作り出す、という試みを続けてきました。彫刻、詩、単語などを独特の仕方で組み合わせる作品群は、すべてこの架空の「建物」という構想に繋がり、その中に配されています。私たちが作品と出会う場は、現実の場であると同時にこの建物に属する場でもあるのです。私たちが宙吊りになるのは、この虚構と現実が交錯する地点でしょう。作品のそこかしこに虚構が混じり(たとえば、脆く見える像は、実際はとても堅牢なブロンズでできているのです)、始まりと終わり、原因と結果といった、事の順序は無効化され、「建物」のアイデアを支える「全てが同時に出来上がった、凍結した時」が現前します。私たちはその世界を、まるで、ストーリーラインのない巨大な1冊の書物を手探りで読むように漂うのです。
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 黄色のコンポジション
- 作者名
- マーク・マンダース
- 制作年
- 2017-2018
- 分類
- 彫刻・インスタレーションほか
- 材質・技法
- ブロンズに彩色、木、プラスチック
- 寸法
- 162.5×66.5×77cm
- 受入区分
- 寄贈
- 受入年度
- 2018
- 作品/資料番号
- 2018-00-0068-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/12236/
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