
鉛筆を中心とした身体的、触覚的なドローイングによるモノクロームの画面で知られる関根直子(1977-)は、近年、具象的なイメージや鮮やかな色彩、大胆な筆捌きを積極的に試みるなど、ドローイングの新たな展開を見せてきました。一方で、空間における作品の配置や構成への働きかけなどを通して、絵を体験することについて、当初より一貫した関心を寄せ続けています。rn《Mirror Drawing》は、そのような作家の探求が結実した作品です。絵に向き合えば、見る人の影や色彩、そして佇んでいる空間全体が映し出され、画面と一体化しているのがわかるでしょう。パネルにジェッソを幾度も重ね、磨き、グワッシュ、鉛筆を重ねて描くという過程を経て完成した画面は、鏡面のような平滑さと微細な陰影を伴った線描が共存し、ドローイングによる作品とは信じられないほどです。画面を構成する3枚のパネルのうち、中央と左右の2枚では肌理が異なり、絵の前を横切るたびにその表面で複数の境界が行き来する場となります。よく言われる「絵に向かう、絵の内容を読みとる」という私たちの行為はここで、まったく異なる体験へと開かれるのです。rnこの作品は、作家がアメリカ、ヒューストンのロスコチャペルを訪れたことが契機となって制作されました。見る者を囲む、絵が呼吸するような空間へのいわば応答として描かれたものですが、鉛筆によるドローイングでのみ得られる画面、表面の質は、技法と空間の問題に取り組み続ける作家ならではのものといえるでしょう。
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- Mirror Drawing
- 作者名
- 関根 直子
- 制作年
- 2017
- 分類
- 水彩・素描
- 材質・技法
- 鉛筆、色鉛筆、グワッシュ/パネル
- 寸法
- 180×298cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 2018
- 作品/資料番号
- 2018-00-0001-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/12008/
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