文谷有佳里(1985-)は、幼い頃よりピアノに親しみ、大学では作曲を学ぶかたわら現代音楽の実験的なパフォーマンスに加わるなど、音楽と身体表現に関わってきた作家です。
線描は、学生時代から作曲とともに続けていた、小さい、私的なドローイングに端を発するものと言います。その後、美術系の大学院に進み、ドローイングを活動の中心に据えていった作家ですが、作曲に勤しむ中でなされた、見えない音を捉え視覚化する膨大な記譜の経験が、これらの、素早い、スピード感のある線を可能にしたと言えそうです。多くの作品には、描出の速度を損ねないよう、短い時間で乾く、細い文具ペンが用いられています。
文谷の線描は、当初は、植物を思わせるような有機的、オートマティックな曲線が支配的でしたが、2009年に建築の書物や図面に関心を寄せたことから、即興的な線が踊る画面上を大胆に横切ってパースや区分けを作り出す、異なる太さをもつ直線が加わり、独特の空間を持った作風へと展開していきました。
音を捉え、視覚化する記譜の線、自動的に引かれる有機的な線、図面で使用されるような画面を分けるしっかりした直線、そして点のように微かな線。これら種々の線を目で追いかけるうちに、セッションにも似たいくつもの呼びかけや応答、重なり、広がりが、見る者をとらえていきます。自立した多様な線が、規則的にまた即興的に交錯する文谷の作品は、パフォーマティヴなプロセスそのものとして、ドローイングという行為の持つ幅広さと奥行き、複数のジャンルにわたる「線」の魅力を私たちに伝えます。
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- なにもない風景を眺める 2016.12.10
- 作者名
- 文谷 有佳里
- 制作年
- 2016
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- インク/ケント紙・パネル
- 寸法
- 4点組:各103×72.8cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 2017
- 作品/資料番号
- 2017-00-0017-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/9134/
東京都現代美術館のその他の収蔵品 (8082)
[ベン・パターソン記録写真 11]
安齊 重男
東京都現代美術館
[少年航空兵]
宮本 三郎
東京都現代美術館
静止、カーブ/カーブ、静止
ジョン・ヒリヤード
東京都現代美術館
情報
小田 襄
東京都現代美術館
松澤宥記録写真集 1982 スイス メディア画廊
松澤 宥
東京都現代美術館
ピクニック(6)[『ピクニック』より]
渡辺 豊重
東京都現代美術館
造形 00 – 4
正木 隆
東京都現代美術館
枯れた野草
長谷川 潔
東京都現代美術館
私の夢
小林 ドンゲ
東京都現代美術館
容
蓮田 脩五郎
東京都現代美術館
[斎藤義重作品写真集:ファイル 5] 9/56
斎藤 義重
東京都現代美術館
いらいら(A)
浜田 知明
東京都現代美術館
肘をつくバイロン
デイヴィッド・ホックニー
東京都現代美術館
二つのさくらんぼ
浜口 陽三
東京都現代美術館
西瓜
浜口 陽三
東京都現代美術館
力と思いやりの領分(マインドマップ)#7
オラファー・エリアソン
東京都現代美術館