
1980年代半ばから発表を重ねている高柳の仕事は、常に物と行為のかかわりを「たずねる」性格を持っている。手がかりをつかんで所在の明らかでないものをさがし求めること。私たちが彼女の作品に対峙したときの感覚もこれに近いかもしれない。そこに漂う様子や気配、質感や表情へのひっかかり、知っているはずだが何かが違うようだ、という微かな感覚が、その作品と私たちを結び付ける。
その作品は、常に個人的な気づきから始まるという。気になる事物と出会い、「その物のもつ複雑さを簡単にしないように」向き合い、扱うことで、物についてある事態が生じる―扱われたものの質がまざまざと現れてくる―そのようなプロセスの全体が、作品を成り立たせている。《スワンの午睡》や《緑園》においては、雑巾やハンカチといった素材の「複雑さ」を、素材に応じて注意深く扱う手ごたえの中から、自身が「見るべきもの」と認めた事態を提示するのである。
作家は、制作において、物と自身を、それぞれがまとっている言葉や意味から「解放」し、「それだけが持つ固有の感触を持つもの、独立したもの」を実感したいと言う。私たちは、身の回りにある事物のありさまやそれとの関わり方を、ごく自然に判断しすぎているかもしれず、高柳の作品は、その判断を逆に照らし出すものといえよう。
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- スワンの午睡
- 作者名
- 髙柳 恵里
- 制作年
- 1997
- 分類
- 彫刻・インスタレーションほか
- 材質・技法
- 雑巾
- 寸法
- 8.5×9×11cm
- 受入区分
- 寄贈
- 受入年度
- 2004
- 作品/資料番号
- 2004-00-0006-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/4899/
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