赤、というよりレンガ色の大きなX字型の形象が、2枚の正方形のカンヴァスと1枚の細長いカンヴァスから構成されている。赤い形象Xは、カンヴァス面を地として筆で描かれたものではない。形象は画面と完全に同一化し、壁面を地とすることにより初めて成立する。絵画は、壁という現実空間を背景として存在する一個の事物となる。シェイプト・カンヴァス(成形されたカンヴァス)と呼ばれるこの手法は、1960年代以降広く用いられるようになった。さて、このXの内側には、中心軸をなして鉛筆の直線が引かれ、もうーつのXが描かれている。鉛筆の線は、カンヴァスを地として描かれた形象(図)に他ならない。3枚のカンヴァスは、形象(図)であるとともに地でもあるという両義性を持っているのである。60年代前半に活動を開始したマンゴールドは、ハードボードに刻み目を入れて吹き付け塗装した作品によりミニマルアートの作家として出発したが、やがてモンドリアンやマレーヴィッチなどの構成的な抽象絵画の伝統を参照しながら絵画の可能性を追求する方向を選んだ。単純な要素のみを用いて複雑な関係性を暗示する本作は、そのような画家の洗練に満ちた到達点のーつである。(Y.M.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- X ペインティングⅠ(赤)
- 作者名
- ロバート・マンゴールド
- 制作年
- 1980
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- アクリル、鉛筆/カンヴァス
- 寸法
- 305×305cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1992
- 作品/資料番号
- 1992-00-0045-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/3970/