熱されて流体となった鉄が冷えて固まる時、その大きさ、形、表面の材質感等には無限の可能性が生まれる。若林は、自己の作品を自然界の流転と循環の一瞬が固定された姿とみなして、一貫して鉄という自然界の代表的素材から様々な表情を引き出してきた。この《自動車の中の人喰》は、若林が60年代中頃に多用していた技法によるもので、鉄材を溶接してかたまりを作り、それをグラインダーで研削してひとつの形態を作り出したものである。当時若林は人間について、また、自動車の内と外における自分の立場の違いと不安定さについて考えることが多かったので、このような形態と題名に落ち着いたという。作品の下部の台にあたる部分は、1966年、1973年、1983年と展覧会に応じて3度改変されている。既存作品にも手を加え、その時の自分の心境を鉄という素材に託しつつ制作を続けてきた若林の足跡は、戦後日本の立体造形を語るうえで欠くことはできない。(M.S.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 自動車の中の人喰
- 作者名
- 若林 奮
- 制作年
- 1966
- 分類
- 彫刻・インスタレーションほか
- 材質・技法
- 鉄
- 寸法
- 100×130×65cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1981
- 作品/資料番号
- 1975-00-4183-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/1434/
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