村上は1961年のデビューの時から、黒を用いた平面表現を続けている。初期より一貫してそのモノトーンの作品には、黒を微細に塗り重ねた濃淡に加え、表面の凹凸によって、複雑で陰影を伴った効果がもたらされている。実際それは、工業製品を用いるなど手業を排した稠密なミニマリズムとは全く異質のものであり、1960年代半ばに隆盛を迎えるこの動きに先立ち、更に10年に及ぶ未公開の時期をはさんで30年以上に亙って営々と続いているのである。制作結果である作品そのものよりむしろ、繰り返しを重視するかのような制作態度は、中世の修道院の写本制作に携わる修道僧のそれを連想させる。背丈を越えることのない画面は、従ってイコンのような意味を持っているのではなかろうか。とするならば、《Untitled》或いは《作品》とだけ記されたその題名に、我々はキリスト教の信仰をもつ作家のストイックなまでに私性を排した厳密な制作態度を窺い知るのである。(N.S.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 作品
- 作者名
- 村上 友晴
- 制作年
- 1981
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- 油彩/カンヴァス
- 寸法
- 162×130.5cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1981
- 作品/資料番号
- 1975-00-0512-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/536/
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