江戸時代、大手門は城内への入り口として諸大名らが出入りしたところである。城内へは乗ってきた馬を下り、大半の供の者をその場に残さなければならなかった。これが正月ともなると、三が日の間に江戸に滞在するすべての大名らが一斉に登城し、大手門から坂下門界隈にかけて大勢の人々でごった返した。その時の風景を描いたものである。
画中には、城内に向けて進む一行が描かれる一方、駕籠のまわりで語り合う人、荷物に腰掛ける人、馬のそばで寝そべっている人まで描かれている。そんな待ちぼうけの人を相手に商売をする姿も。よく見ると、何かを飲んだり食べたりしている様子。寒風の中ただ待っている彼らには、格好の暇つぶしとなったであろう。
この作品は、その名称のとおり「下絵」である。画面には初めに描いた絵を修正するため、その上へ描き直したものが貼り付けられ、画家の試行錯誤がうかがえる。江戸東京博物館には明治時代に描かれた「江戸城年始登城風景図屏風」があり、最終的にはそのような絢爛(けんらん)豪華な作品になったのかも知れない。この下絵は、人物が全体的に丸みを帯び簡略化されて描かれ、どことなく漫画を見ているような楽しさがある。新春の風物詩をユーモラスに表現しているようで、違った味わいのある作品である。
- 所蔵館
- 江戸東京博物館
- 資料名
- [江戸城正月登城図 下絵 門前の賑い]
- 資料番号
- 91005982
- 大分類
- 絵画
- 小分類
- 日本画
- 種別
- まくり
- 年代
- 明治期 19世紀
- 員数
- 1幅
- 法量
- 73.5cm x 82cm
- 江戸博デジタルアーカイブズ
- https://www.edohakuarchives.jp/detail-17749.html
江戸東京博物館のその他の収蔵品 (159766)
紫市松文懐中たばこ入れ
江戸東京博物館
文化財調査写真 壺
永江維章/編輯撮影
江戸東京博物館
榛原聚玉堂版団扇絵 広告絵・三矢
江戸東京博物館
郷土舞踊と民謡
神田海之助/編
江戸東京博物館
富士山(石)
江戸東京博物館
前田晁あて書簡 病状報告
川浪てい/作
江戸東京博物館
和国諸職絵つくし
菱川師宣/画
江戸東京博物館
回覧(放置乗用自動車盗難車と判明につき通知)
江戸東京博物館
万案文写
江戸東京博物館
第十一回 割増金附 報國債券
江戸東京博物館
型紙 テライ型帽子ブリム縁アール
江戸東京博物館
スケッチ [祭 庭先回り](長崎くんち)
清水崑
江戸東京博物館
写真 石井勇義肖像
江戸東京博物館
吊灯台
江戸東京博物館
歴代風俗女装飾絵
星野水裏/案 川端龍子/画 増田義一/編輯發行 石井勇/印刷人
江戸東京博物館
書評切抜帖 二
江戸東京博物館