
初期の観光写真として貴重な作品。バビットは1853年から70年までナイアガラで営業した。遠景に瀑水、中央に人物を配してピントを合わせ、近景に拡がりを与える。彼は周到な計算の元に講図をとり、顧客となるだろう人物を絶妙に配置している。
ダゲレオタイプによる肖像写真がフランスよりも盛んに制作されたのは、アメリカである。ダゲレオタイプ公開の翌年春にはすでに、NYで最初の肖像写真館の広告を見つけることができる。この頃のアメリカは、37年の恐慌後の不況下にあった。しかし一旗揚げたい人々にとって、このニューメディアは大きなチャンスでもあった。この当時、ダゲレオタイピストと呼ばれた写真師には、大きく二つのタイプが存在していた。一つは地方を巡業する写真師。プラット・D・バビットのように、観光地で営業を取得し、訪れる人々を撮影して販売する者も現れた。もうひとつは、都会に豪奢なスタジオを構える起業家である。当時、アメリカにおける中産階級以上のほとんどが、その姿を銀板へ写し取るためにレンズの前に立ち、50年代には一大産業へと成長するのである。
欧州では50年代中葉にダゲレオタイプのピークは過ぎ去り、次に発明されたガラスを用いるコロジオン湿板方式へと移行する。だが、アメリカ人にとってダゲレオタイプの輝きは重要であったようで、60年代まで広くこの方式が用いられる。また、家族を撮影したものが多く残る点も特徴である。
- 所蔵館
- 東京都写真美術館
- 作品/資料名
- 展望台からのナイアガラ滝の眺め
- 作品名(原題)
- View of Niagara Falls from prospect point
- 作者名
- バビット, プラット・D.
- 制作年
- 1855
- 分類
- 海外写真作品
- 材質・技法
- ダゲレオタイプ
- 作品/資料番号
- 20100197
- 東京都写真美術館 収蔵品検索
- https://collection.topmuseum.jp/Publish/detailPage/44048/
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