
戦陣において他者に秀でた武功を立てるためにも、武士たちの武具に対する関心はなみなみならぬものがあった。鑓(やり)や刀剣といった実際に戦闘で使用する武器への気づかいはもちろん、自身の働きを主君に目出たせる工夫にも余念がなかったのである。例えば兜(かぶと)の前部につける風変わりな鍬形(くわがた)などが著名であるが、ほかにもさまざまな工夫をこらしていた。その一つに母衣がある。
母衣とは、古くは鎧(よろい)武者が流れ矢を防ぐために背負った布製の道具である。幅広の布を肩と腰に紐で結んで固定し、馬を走らせ風をはらませてマントのようにして用いた。時代が下ると長大なものとなり、いつしか玉柄杓(たまびしゃく)を逆さにしたような竿つきの骨組み籠(かご)に母衣布をかぶせて、馬を走らせなくても丸くふくらむように工夫がなされた。
母衣を装着した奇抜な姿はたいへん目立ち、戦場では主君の命令を伝える伝令役など特定の者のみに使用が許可されるようになっていった。例えば江戸幕府でも、将軍の御使番(おつかいばん)などにその使用は限られている。
写真は、伝来は不明ながら母衣の実物である。軍記絵巻など絵画資料では、騎馬武者の背中でさながら竿先の大きな風船のように表現されている姿をよく見かける。しかし、実物が現存するケースはきわめて珍しい。
- 所蔵館
- 江戸東京博物館
- 資料名
- 母衣
- 資料番号
- 95202945
- 大分類
- 生活民俗
- 小分類
- 軍事
- 種別
- 甲冑類
- 年代
- 江戸時代 17~18世紀
- 員数
- 1領
- 法量
- 65cm x 54cm x 40cm
- 江戸博デジタルアーカイブズ
- https://www.edohakuarchives.jp/detail-11109.html
江戸東京博物館のその他の収蔵品 (159766)

めんこ フライヤーズ東急軍白木儀一郎
江戸東京博物館

昭和十一年四月 新聞切り抜き 手入れが大切集 べっこうの巻
江戸東京博物館

東風俗 福つくし「福わらい」
橋本周延/画
江戸東京博物館

朝鮮銀行券 1円
日本帝國政府内閣印刷局/製造
江戸東京博物館

家屋敷譲渡金子請取申証文事
江戸東京博物館

麻布六本木町凱旋門
江戸東京博物館

隣組回覧板(京橋区湊町) 町会隣組常会通信 第四十三号
東京市役所/製作
江戸東京博物館

防空強化ニ関スル御援助御願
高輪警察署長 重原新司/他
江戸東京博物館

御残物積り帳
岡崎屋吉右衛門
江戸東京博物館

証果増進之図
江戸東京博物館

和歌短冊「わかき霜の…」
吉沢義則
江戸東京博物館

(東京名所)皇居二重橋
江戸東京博物館

天保四癸巳暦(江戸暦)
近江屋新八
江戸東京博物館

皇居内濠の石垣
G・フェーレイス/撮影
江戸東京博物館

木彫蓋付器形とんこつ腰差したばこ入れ
江戸東京博物館

歌舞伎座 昭和47年5月 公演筋書 十五世市村羽左衛門二十七回忌追善五月大歌舞伎
江戸東京博物館